叢書・ウニベルシタス 1204
肉食の性政治学
フェミニズム=ヴィーガン批評理論

四六判 / 534ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円) 
ISBN978-4-588-01204-4 C1336 [2026年09月 刊行]

内容紹介

1990年の刊行以来、フェミニズムとアニマルライツ運動の交点で決定的な役割を果たし、世界中に影響力を及ぼしつづける現代の古典。家父長制システムのもと自由を奪われ、性と生殖を管理され、やがて肉として消費される運命を強いられてきた女たち・生き物たちの声を聴く力に、私たちの未来がある。旧訳『肉食という性の政治学』を改題、最新版原典に依拠して大幅増補した〈人生を変える1冊〉!

著訳者プロフィール

キャロル・J.アダムズ(ジェー アダムズ キャロル)

キャロル・J.アダムズ(Carol J. Adams)
フェミニズムと動物の権利運動の活動家として世界的に著名な独立研究者。家庭内暴力、人種差別、ホームレス支援運動、リプロダクティブ・ジャスティスや公正な住宅政策実現のための活動を続けるなか、1990年に刊行した本書が話題となり、各国語に翻訳され先駆者としての評価を得る。イェール大学神学修士。著書に『エコフェミニズムと聖なるもの』(1993年)、『人間でも獣でもなく』(1994年)、『配偶者女性への暴力』(1994年)、『肉食者たちの中で生きる』(2003年)、『肉のポルノグラフィー』(2004年)、『動物への祈り』(2004年)、共著に『プロテスト・キッチン』(2018年)、共編著に『動物倫理におけるフェミニスト・ケアの伝統』(2007年)、『エコフェミニズム』(2014年)など多数。

鶴田 静(ツルタ シズカ)

鶴田 静(ツルタ シズカ)
文筆家・翻訳家。明治大学文学部卒。1975年から77年までウィリアム・モリス研究のためイギリス滞在。ベジタリアンになり、その思想と料理を研究。帰国後、自然生活、環境、食文化についての執筆、英語翻訳に携わる。著書に『ロンドンの美しい町』(晶文社)、『ベジタリアンの文化誌』(中公文庫)、『ベジタリアンの世界』(人文書院)、『べジタリアン宮沢賢治』(晶文社)、翻訳にJ.ハミルトン『ウィリアム・モリスの庭』(東洋書林)、E.レビンソン『ぼくの植え方』(岩波書店)ほか多数。認定NPO法人日本ベジタリアン協会名誉会員。

深沢 レナ(フカザワ レナ)

深沢 レナ(フカザワ レナ)
詩人・社会活動家。大学院在籍中に教員によるセクハラ被害を受けた経験から「大学のハラスメントを看過しない会」を設立、性暴力や構造的暴力の問題に声を上げるとともに、ヴィーガンとして動物問題にも取り組む。連続座談会をもとにした編著に『あなたと考えたい動物たちと社会のこと』(現代書館)、監修した絵本に『こぎつねのママ ママのこぎつね』(施暖暖・龍緣之著、現代書館)、詩集に『痛くないかもしれません。』(七月堂)、『失われたものたちの国で』(書肆侃侃房)、『海を聴く』(港の人)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

35周年記念版の序

初版のまえがき(1990年)

初版の謝辞(1990年)

35周年記念版の謝辞

アーティストたちについて

日本語版へのまえがき(1994年)



第一部 肉食の父権的テキスト

第一章 肉食の性政治学

男性の自己確認と肉食
肉──男性だけのもの
肉食の人種政治
肉は王である
肉食に関する男性の言語
ジェンダーの不平等/種の不平等
「野菜」は女性らしい受け身の象徴か?
肉は父権制の象徴である

第二章 動物のレイプ、女性の屠殺

不在の指示対象
女性と動物──オーバーラップし、しかし不在となった指示対象
人種差別と不在の指示対象
性暴力と肉食
モノ化、分断、消費のサイクル
隠喩としての肉の消費
分断は無視される

第三章 仮面をかぶせた暴力、無言化された声

仮面としての言語
偽名をつけること
複合的な抑圧
文字どおりに考える
無言化された声
新しい命名

第四章 肉体となった言葉

ピュタゴラスの教え
ベジタリアニズムの抗議文献
肉体となったベジタリアニズムの言葉
戦陣を張った会話
肉の物語

第二部 ゼウスの腹の中から

第五章 解体されたテキスト、解体された動物

解体とは
ジョゼフ・リッツン──武器を持つベジタリアン
文字どおりの事実を書く、ベジタリアニズムを書く
ベジタリアニズムの言葉を携える
第六章 フランケンシュタインの怪物はヴィーガン
閉じられた円とベジタリアンやヴィーガンの意識
ロマン派ベジタリアニズムの言葉を携える
無言化された意味を解読すること

第七章 フェミニズム、第一次世界大戦、近代のベジタリアニズム

戦争の性政治学
第一次世界大戦──ベジタリアニズムの近代化
女性の創作と拡大された戦線
ベジタリアニズムの黄金時代と女性の創作
中断という語りの戦略
支配的な見解に打ち勝つこと

第三部 米を食べ 女たちに信頼を

第八章 ベジタリアニズムのからだの歪み

ベジタリアニズムのからだを定義する
批評の歪み
セクシャリティーとベジタリアニズムのからだ
肉恐怖症?
具体化された意味

第九章 フェミニズム=ヴィーガン批評理論のために

フェミニズムとベジタリアニズムの歴史を再構築する
ベジタリアニズムの探求
ベジタリアニズムの意味と文芸批評
ベジタリアニズムのからだのフェミニズム=ヴィーガニズム的解釈のために

「これを愛せよ」(グレッチェン・プリマック)

エピローグ 父権的消費を不安定にする

〈補遺〉

10周年記念版のまえがき(2000年)

20周年記念版のまえがき(2010年)

25周年記念/ブルームズベリー・レヴェレーションズ版の謝辞(2015年)

25周年記念/ブルームズベリー・レヴェレーションズ版のあとがき(2015年)

日本語版初版 訳者あとがき/増補新版 訳者あとがき 鶴田 静

訳者解説  深沢レナ

原注
著作権についての謝辞
35周年記念版の参考文献
初版の参考文献
索引