ルネサンス期の人文主義者らは古代の著作家から格言や警句を引用する際、膨大な歴史的テクストをどう利用していたか。印刷術の発明による情報氾濫のなか出現した「コモンプレイス・ブック」(見出し語別引用句集)に注目し、過去の知を整序することで弁論や執筆を助けるツールが初期近代の共通の文化的基盤をなした背景を跡づける。図書館学・百科全書学にも新たな歴史的展望をもたらす画期作。
山本 佳生(ヤマモト ヨシオ)
山本 佳生(ヤマモト ヨシオ)
1993年大阪府生まれ。パリ第三大学ソルボンヌ・ヌーヴェル博士課程修了。博士(文学)。早稲田大学非常勤講師、日本学術振興会特別研究員PDを経て現在、広島大学総合科学部助教。専門はモンテーニュ『エセー』とルネサンス期のレトリック。主な論文:「モンテーニュにおける説得の技法」(『関西フランス語フランス文学』第30号)。共訳書:R.メサック『探偵小説の考古学』(国書刊行会)、P.セルナ『共和国における動物』(法政大学出版局)ほか。
序 蜜蜂のあとを追って
第一部 初期近代におけるコモンプレイス・ブックの理論
第一章 「コモンプレイス」の淵源
1 発想の「場所」──観点・論拠としての「トポス」あるいは「ロクス」
2 「汎用的なロクス」
3 プロギュムナスマタの「汎用の論法」と「一般論題」
4 弁証術と弁論術の分離──ボエティウス
5 弁論術の復権、あるいは弁論術化した弁証術──アグリコラ
6 ルネサンス期の「ロキ・コンムネス」──見出し語あるいはラベル
7 詞華集──情報の収集と保存
第二章 十六世紀における「コモンプレイス」の展開
1 エラスムス(1469–1536)
2 メランヒトン(1497–1560)
3 「豊饒さ」の統御
4 言論の目的の変化──「感情の動揺movere」と「教示docere」
第三章 ノート作成とコモンプレイス・ブックの誕生
1 「コモンプレイス」教育
2 ノート作成法の洗練
3 ツヴィンガーのコモンプレイス・ブックのメカニズム
4 キケロ主義とコモンプレイス・ブック
5 コモンプレイス・ブック依存
第四章 「コモンプレイス」と図書館学
1 「コモンプレイス」から書誌学へ
2 個人図書館の実相
3 近代的図書館の形成
第二部 初期近代におけるコモンプレイス・ブックの実践
第一章 アンリ・ド・メームの手稿にみるコモンプレイス・ブックの実践
1 アンリ・ド・メーム一世(1532–1596)
2 アンリ・ド・メーム二世(1585–1650)
3 「コモンプレイス」の方法
第二章 引用と模倣、そして「適合」
1 アンリ・エチエンヌ『道徳パロディー集』
2 「パロディー」とは何か
3 「つぎはぎ歌Centon en vers」の特徴
4 パロディーとつぎはぎの「複数性」
5 ユストゥス・リプシウス『政治学六巻』
第三章 読書録、『格言集』そして『エセー』における多様さ
1 雑録・読書録・注釈
2 「読書録lectiones variæ」の形成
3 ルネサンス期の注釈
4 エラスムスの戦略
5 モンテーニュの多様性
第四章 モンテーニュにおける「賛否両論の方法」
1 「賛否両論の方法Loci communes in utramque partem」
2 ハムレットの苦悩と「賛否両論の方法」
3 討論教育から『エセー』へ
4 「レーモン・スボン弁護」における「賛否両論の方法」
第五章 モンテーニュにおける増幅拡充の「汎用的なロクス」
1 列挙による増幅拡充
2 「ロキ・コンムネス」あるいは「センテンティアsententia」
3 「センテンティア」で彩られた天井
4 懐疑主義と無知の称揚
5 神の憤激と恩寵
結び 過去・現在・未来が交錯する「場」
あとがき
注
参考文献
事項索引
事項索引
第一部 初期近代におけるコモンプレイス・ブックの理論
第一章 「コモンプレイス」の淵源
1 発想の「場所」──観点・論拠としての「トポス」あるいは「ロクス」
2 「汎用的なロクス」
3 プロギュムナスマタの「汎用の論法」と「一般論題」
4 弁証術と弁論術の分離──ボエティウス
5 弁論術の復権、あるいは弁論術化した弁証術──アグリコラ
6 ルネサンス期の「ロキ・コンムネス」──見出し語あるいはラベル
7 詞華集──情報の収集と保存
第二章 十六世紀における「コモンプレイス」の展開
1 エラスムス(1469–1536)
2 メランヒトン(1497–1560)
3 「豊饒さ」の統御
4 言論の目的の変化──「感情の動揺movere」と「教示docere」
第三章 ノート作成とコモンプレイス・ブックの誕生
1 「コモンプレイス」教育
2 ノート作成法の洗練
3 ツヴィンガーのコモンプレイス・ブックのメカニズム
4 キケロ主義とコモンプレイス・ブック
5 コモンプレイス・ブック依存
第四章 「コモンプレイス」と図書館学
1 「コモンプレイス」から書誌学へ
2 個人図書館の実相
3 近代的図書館の形成
第二部 初期近代におけるコモンプレイス・ブックの実践
第一章 アンリ・ド・メームの手稿にみるコモンプレイス・ブックの実践
1 アンリ・ド・メーム一世(1532–1596)
2 アンリ・ド・メーム二世(1585–1650)
3 「コモンプレイス」の方法
第二章 引用と模倣、そして「適合」
1 アンリ・エチエンヌ『道徳パロディー集』
2 「パロディー」とは何か
3 「つぎはぎ歌Centon en vers」の特徴
4 パロディーとつぎはぎの「複数性」
5 ユストゥス・リプシウス『政治学六巻』
第三章 読書録、『格言集』そして『エセー』における多様さ
1 雑録・読書録・注釈
2 「読書録lectiones variæ」の形成
3 ルネサンス期の注釈
4 エラスムスの戦略
5 モンテーニュの多様性
第四章 モンテーニュにおける「賛否両論の方法」
1 「賛否両論の方法Loci communes in utramque partem」
2 ハムレットの苦悩と「賛否両論の方法」
3 討論教育から『エセー』へ
4 「レーモン・スボン弁護」における「賛否両論の方法」
第五章 モンテーニュにおける増幅拡充の「汎用的なロクス」
1 列挙による増幅拡充
2 「ロキ・コンムネス」あるいは「センテンティアsententia」
3 「センテンティア」で彩られた天井
4 懐疑主義と無知の称揚
5 神の憤激と恩寵
結び 過去・現在・未来が交錯する「場」
あとがき
注
参考文献
事項索引
事項索引




